測量設計とは

  • 測量設計は私たちの生活と密接に関わっています。
    私たちが普段使っている道路、鉄道、トンネル、上下水道などのインフラを整備するときは全て測量そして設計からはじまります。
    インフラ整備に「住みよい地域を造る~測量設計」は欠かせないものなのです。
    測量設計は今の日本を見えないところで支えている、縁の下の力持ちです。

インフラって何?

インフラストラクチャー(=社会基盤)とは、生活や産業の基盤となる道路や橋、公園、上下水道など、人々の生活と安全を守り、生活の質を向上させ、産業の活性化に貢献する公共の財産です。社会や技術の進歩に合わせ、求められる機能や役割も変化していきます。

インフラと測量設計

【 計 画 】住みよい未来を計画する

皆さんが思う住みよい未来を、地域の行政機関と共に形にしていきます。
地域の特性を調査し、まちづくりの方針を決定し、それを図面にしていきます。

【 測 量 】大地を測り、地球を描く

計画された地域を測量し、正確な図面を作成し、データ化します。測量により得られた情報は紙だけではなく、数値地図データとして、カーナビやGIS(地理情報システム)で活用され、私たちの生活をより便利にしてくれます。

【 設 計 】地域を見つめ希望を描く

測量等のデータを元に、地域の皆さんが安全で快適な日常生活を過ごすのに不可欠なインフラを安全性が高く、経済性に優れ、長く親しまれるよう、設計を行います。

【 メンテナンス 】住みよい社会を未来まで

インフラのデータベース化(台帳整備、GISなど)を行い、管理・有効活用します。施設の点検・調査を行い、長寿命化のための補修補強設計を行います。

私たちの仕事

【測量】

あらゆる工事の「はじめの一歩」を担う。土地の高さ・長さ・広さを正確に測ります。

測量の仕事は外業と内業に分かれます。

外業

3名程度でチームを組み、「GNSS」や「トータルステイション」といった測量専用の機械を使います。GNSSであれば、あらかじめ選んだ観測地点にGNSS受信機を設置し、人工衛星からのデータを取得します。その際、通信データの受信状況(衛星の数等)や、得られたデータ量が十分かなどの確認を行います。

内業

まず、求められる精度や最終的な使用目的に応じて、観測手法等を確認します。
その上で、外業で取得したデータを、パソコンに取り込み、基準点に関する様々なルール(精度・計算手法)を考慮しながら測量解析プログラムにかけ、図面やデータにします。

このように、測量においては外業、内業どちらも重要な仕事です。

GNSSとは

Global Navigation Satellite Systems : 全地球衛星測位システムの略称です。私たちが普段使っているGPS(Global Positioning System)は、GNSSの一部です。以前はアメリカ合衆国のGPS衛星のみを使用していましたが、現在は日本の衛星「みちびき」など、様々な衛星を使用しています。

【設計】

建物を設計するのは建築士。これに対して橋、道路、トンネルなどのインフラは全て我々が設計します。

測量で得た地形データや、ボーリングからの地質データを基に、これから工事する道路や橋、堤防といった構造物に必要とされる機能や性能などを考え、どのような構成で造るかを決定する仕事です。
例えば大雨でも堤防が決壊しないために、どんな材料で高さはいくらにするといった検討。また、例えば事故や渋滞のない安全な道路であるために、4車線にして大きなカーブにするといった検討を、定められたルール(基準)に従い計算・分析・判断して、形や構造を決めて設計図をつくります。

最近は台風や地震など、自然災害が多発しています。その際、生活や産業が一日でも早く
もとに戻れるよう、いち早く現地に入り、復旧のための測量と設計を行っています。

Q この仕事を目指したきっかけは?

小林 強 (40歳)

現場作業では同じ日が1日もない。
毎日を新鮮に感じられます!

私の場合、学生時代からものづくりへの関心が高かったこともありましたが、仕事をするなら社会へ貢献できる仕事をしたく、この仕事を目指しました。
というのは建前です。ずっと椅子に座っているのは性に合わなくて、外にも出て体を動かせる職業に就きたかったというのが本音で、いざ仕事をしてみると、測量は外業も内業もありますので気分転換も出来ます。現場も一つとして同じ場所はありませんので、流れ作業的なマンネリも少ないです。

木村 美紅 (19歳)

専門知識を生かして仕事ができることが魅力でした。

私は高校で土木や建築について勉強していたので、将来は高校で学んだ専門的なことを生かせる職種に就きたいと思っていました。そして実際に学校の敷地を測量する授業があったのですが、そのときに距離や角度を機械ひとつで測れることに感動し、その機械を使って仕事をする測量の仕事に興味を持ちました。
また、測量は建物や道路、橋をつくるためにも必要になる重要な仕事だと知り、私もそのような未来に残るものをつくりたいと思うようになったことがきっかけでこの仕事を目指しました。

測量の仕事

測量設計には高い専門性が求められる仕事が多く、中には資格がないとできない業務もあります。
測量設計で最も一般的な資格が「測量士」です。測量士になるには年に一度行われる試験に合格するほかに、大学や専門学校で測量科目を専攻した後に実務経験を積むなど、様々な方法があります。

測量設計で必要とされる資格

高度な技術と専門知識が必要ですが、こうした技術や知識は
講習会や先輩といっしょに仕事をすることにより継承されていきます。

  • 測量士
  • 技術士
  • RCCM
  • 補償業務管理士
  • 一級土木施工管理技士
  • 農業土木技術管理士
  • 地質調査技師
  • 土地改良保証業務管理者
  • 測量専門技術認定
  • 林業技士

資格の取得は就職してからでも大丈夫。
講習会への参加はもとより先輩が丁寧に
指導していきます。

測量設計の魅力

測量設計はさまざまな事業の最上流に位置しています。
私たちの周りでは高速道路や空港、港湾などの整備が進められ、
自然災害が発生しても迅速に復旧が図られておりますが、
全ての第一歩が測量や設計です。

自分たちが測量や設計した社会インフラが地図に残り、多くの人々の暮らしに役立つ。これが測量設計の魅力です。

私たちは、国、秋田県及び市町村と緊急時の災害協定を結び、災害発生時には速やかに測量や設計を実施しています。

Q 仕事のやりがいはなんですか?

村上 彩(24歳)

たくさんの人に助けてもらいながら、社会に役に立つものをつくる。チーム一丸となって地域の発展に関われるのが一番の魅力です。

私は、土砂災害防止法に基づく基礎調査業務に携わっています。業務では、現地に行って調査し、結果を資料にまとめ、ハザードマップの作成等を行っています。実際に自分の目で現場をみたり、時には地元の方とお話をさせていただく機会もあります。一つの業務を通してたくさんの人と関わりながら、机仕事だけではない、屋内・外にわたる仕事にやりがいを感じています。私が土木に携わるようになったのは会社に入社してからです。けして表立って目立つ仕事ではありませんが、地域社会の開発と発展に係わることのできる仕事にとても魅力を感じています。

工藤 耕士(28歳)

モノづくりのスタートとなる測量設計。
大変なことが多い分、自分の手掛けたものが形になった時の達成感は最高です!

設計業務をするためには現地調査と測量を行いますが、調査・測量をしているとその地域の現在の状況が分かってきます。こういった地域もあるんだなと、自分の知らない地域を知ることが出来るのは新鮮で面白いです。
また、設計業務には定められた基準やマニュアルがあり、それに沿った規格を考えたり、勾配や雨の排水の計算等をしたり、計画するのが難しく大変です。しかし、自分で考えた設計が図面の中で形となっていくのは、すごく達成感が有ります。
何か月もかけて業務完了した際に、発注者の方に「ありがとうございました」と言われた時はとても嬉しいものがあり、やってよかったと思えました。

測量の仕事

最近では、日本でもGNSS衛星(準天頂衛星「みちびき」)を打ち上げ、国土全体が24時間正確な位置情報を提供できる様になりました。又、それと前後して我々の使用する測量機器も呼応して進化し、近年は測量により高精度な3次元データを取得し、設計を行う方法も取り入れられてきています。

【 UAV(ドローン)を使った測量 】

ドローンにGNSS及びカメラやレーザースキャナーを搭載し飛ばすことで、3次元データを取得します。それにより、3Dモデルを作成し体積の計算も出来る様になりました。又、人の目の届かない高所部や災害時に危険で人が立ち入れない区域でも測量が可能となりました。飛行には、撮影計画を立て、計測されたデータを図化するのが我々の仕事です。

【 地上レーザーによる測量 】

地上レーザースキャナーは毎秒1万点以上のレーザービームを発射することにより、地形や構造物などの高精度な3次元データを取得します。
計測対象物に立ち入らずに離れた場所からの計測が可能なため、災害現場での迅速な測量、遺跡や社寺仏閣・仏像などの文化財調査のほか、土木工事現場の3次元計測などで活用されています。

【 MMSを使った測量 】

MMS(Mobile Mapping System)とは3次元レーザー計測機とデジタルカメラを自動車に取り付け、走行しながら道路や建造物の測量を行うシステムを指します。近年では、都市をまるごとデータ化するなど、今後幅広い活用が見込まれています。

【 GISを使った地図アプリ 】

GISとは地理情報システム(Geographic Information Systems)の略称で、地理的位置に関する情報を持った空間情報データを総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術です。私たちが住んでいる土地の住所や地番の様な位置情報、そして所有者や地目など私たちが手がけている測量調査成果はGISで活用されます。

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